医師として蒲田で恩返しをしたい
病弱だった経験から
幼少期に気管支喘息を患い、かかりつけ医を受診することが度々ありました。かなり苦しく、クリニックで吸入や点滴をして頂き、クリニックはいつも安心できる場所でした。先生がやさしかったこと、自分の家族のように感じていたことが今も記憶に残っています。医師として人として、「優しい」人間でありたいと思った原点かもしれません。
からだが弱く扁桃腺手術で入院したり、目の手術で入院することも度々あり、病院は身近な存在でした。いつか自分もひとを助ける側に行きたいと思い、中学生くらいの頃はゴッドハンドと呼ばれる医師のドキュメンタリー番組を見たり、医療に命を懸ける人物伝などを読み漁っていました。
野球野球野球・・・そして妻と
しかし実際の学生時代は野球部に入部して、汗だくになって毎日体を動かす学校生活でした(笑)。よく医学部に入れたなあと呆れますが、大学でも変わらず野球に夢中で部活中心の生活でした。そこで出会った多くの仲間が今は母校の教授になったり、総合病院でえらい役職になったり・・・「いつでも紹介をうけるよ」と言ってくれる頼もしい友に恵まれました。その野球漬けの大学時代に初めて出来た彼女が現在の妻です。多くは語れませんが・・・ずっとずっとずっと支えてもらっています。たぶん、これからもー多謝。
スーパーdoctorに憧れて
若く未熟だった私は、マンガのようなスーパーdoctorに憧れていたのかもしれません。
多くの症状に対応でき、一人で何でも対応可能な医師を目指しました。
緊急事態を自分の力で打開するイメージをもって、救急医療・主に救命センターでの研修を選びました。ほかにも内科、小児科、皮膚科、アレルギー科、泌尿器科、産婦人科、麻酔科、性感染症科と多岐に渡る科で研修を積みました。
その中で一人だけで解決することはできない現実も理解します。専門が分かれているのは、それだけ「深い知識と高度な技術習得が必要である」、という当たり前の事実を臨床の現場で改めて体感し、チームの力・多面的で専門性の高い意見の集約で解決すべきことの重要性も大いに学びました。
専門性の大切さを理解したうえで、改めて全科目にとって必要不可欠なことが画像診断と読影技術でした。画像診断、放射線治療、総合診療を専門にすることで横断的に全診療科の診断、治療に関わることが可能になりました。総合診療医として不明熱や他の専門的な鑑別が難しい症状に関して、診断を下し、治療を行う訓練を積み重ねたことが今へつながる大きな礎になっていると思います。
大学病院を出る意味
大学病院で習得した高度な技術と深い知識を、より患者様が多い総合病院でどこまで生かせるか。勤務した大規模総合病院の放射線治療科では、一瞬たりとも気を抜くことのできない画像診断と読影でさまざまな悪性腫瘍を発見し、外科や内科とチームを組み治療に向き合う充実した日々を過ごします。
いつからか同期、同僚を見回すとそろそろ皆開業を考え動き始め、私も周囲に開業を勧められることも増える年齢になっています。そのまま開業してもよかったかもしれません。しかし開業の前にもう一度原点に立ち戻り、総合診療医・総合内科専門医として患者様の抱える日常の小さな悩みや困りごとに、「正確に安全にとことん向き合う」復習が必要だとも感じていました。
都内でも有数の外来患者様の多いクリニック(外来400人AV/日)で学ぶことにしました。
開業前に学んだこと
クリニックでは約6年間、老若男女問わず内科・泌尿器科・皮膚科とプライマリーケア全般を診療しました。頭痛、腹痛、発熱、風邪はもちろん、クラミジア、淋菌、梅毒等の性感染症、アトピー、にきび、いぼ、水虫と多くの患者様を診察致しました。
患者様が仕事を抜け出してでも街場のクリニックへ駆け込むのは、痛み苦しみの原因がわからず、不安の原因を教えてほしい、解決してほしいという願いです。大学病院、総合病院で診てきた命の掛かった患者様の悩みとは若干異なるかもしれません。しかし、「不安」にさいなまれ、今この時が苦しくつらいのはみな同じです。
- 頭痛のとき、もしかしたら脳腫瘍かしら?と考える患者様もおられます。
- リンパ腺が腫れたら、もしかしたら大きな病気カナ?と考える患者様もおられます。
コロナ期間では発熱外来も担当し、多い日は1日200人以上を診察いたしました。
開業とは、患者様の不安へ向き合うこと
99%大病ではないとしても、クリニックの医師は鑑別と診断をもって患者様の残り1%の不安を取りぞくこと、完全に不安が払しょくできなくても少しでも不安を和らげる情報を提供することが義務だと思います。しかし医療情報の溢れる今のデジタル社会で、都市部の勉強熱心な患者様の不安を取り除くには、専門家として確固たる情報を提供することが必要です。
- そのためにCT検査による画像診断が必要と考えます。
- そのために総合診療医として科目横断的に「診る」力が必要と考えます。
- そのために大都市にこそ、総合内科専門医と放射線科専門医を両立した医師が必要と考えます。
これらが揃ったいま、私がこれまで学んだ「あらゆる疾患を診る総合診療」が蒲田の役に立つはずだという自信を確信に変へてこの度の開業に至りました。どうぞこれから末永く蒲田駅前内科皮膚科泌尿器科をよろしくお願いいたします。
院長 宮本一成